精神科について
東京警察病院精神科では、総合病院の精神科として、一般的な精神科診療だけでなく、身体疾患のある患者さんや周産期の方への対応も行っております。
その中でも特に力を入れているのが、てんかん診療です。都内にはてんかんを診る医療機関がたくさんありますが、当院は総合病院ですので、脳波検査やMRI検査を一か所で行えるという強みがあります。てんかん専門医が常勤しており、発作の治療に加え、服薬・妊娠・進学・就労・運転といった生活上の悩みにも対応いたします。また、てんかんに併存した精神症状の診察も行っております。
このほか、認知症が疑われる方に対し、画像検査や神経心理検査を行って診断しています。
当院で行える検査には、頭部CT、頭部MRI、脳血流SPECT、NIRS(光トポグラフィー)、脳波、血液検査、各種心理検査などがあります。より客観的な診断を早期に行い、正確な診断につなげられるよう努めています。
当科での診察を希望される方へ
- 当科は、予約制ですので、必ず受診の前にお電話いただき予約を取得ください。
- 初診は、かかりつけの医療機関からご紹介いただく形で承っております。
- 当院は紹介受診重点医療機関ですので、初診の際に診療情報提供書がない場合は、診察料以外に別途料金がかかります。
- 紹介受診重点医療機関という性質に加え、常勤医が1-2名と少なく、担当できる患者さんの数に限界があることから、症状が安定した患者さんは、近隣の診察所(紹介元があれば紹介元の診察所)へ紹介させていただく場合があります。ご了承ください。
- 精神科病棟はないため、入院加療が必要な方は他院へ紹介し、ご加療いただく形となります。その他、対応が難しい治療・検査等が複数ありますので、このページの最後にある、「当院精神科でできないこと」の項を、あらかじめご確認ください。
診療内容と特色
心理療法(カウンセリング)、心理検査
精神科診療は、なるべく早く元の生活に復帰することを目標として、薬物による症状改善と環境調整の指導を行うことを原則としています。一方、症状の背後に自分自身の心の不自由さや家族関係などが影響している場合は、心理療法(カウンセリング)が有効であることもあります。当科では心理師が常勤しており、必要な場合はカウンセリングを並行して行うことが可能です。ただしカウンセリングの適応はあくまで医師が診察を行った上で判断いたします。カウンセリング目的の受診は対応しかねますので、ご了承ください。
心理検査によって、自身の傾向をつかむことが生活への適応を改善することがあります。患者さんと相談しながら、必要に応じて心理検査を行っていきます。
気分障害
「気分が落ち込む」「何事にも興味が持てない」「やる気が出ない」などの症状が数週間以上続く場合は、うつ状態の可能性があります。うつ状態は、いわゆる「うつ病」によるものだけでなく、気分が上下することを繰り返す「双極性障害[双極症]」や、強いストレスに対して精神・身体的不調が生じる「適応障害[適応反応症]」、身体的な不調などでも生じます。これらは、症状は似ていても原因によって治療法が異なるため、初診時には丁寧な問診や検査を行います。投薬治療のほか、主治医が必要と判断した場合は、心理師による心理検査や認知行動療法を行います。
不安障害・強迫性障害
不安障害[不安症]には、混み合った場所や容易に抜け出せない状況で不安が強まる「広場恐怖症」、人前での失敗が不安で赤面・ふるえ・動悸などが現れる「社交不安症」、急に動悸・息苦しさ・ふるえなどが生じて強い恐怖感を伴う「パニック障害[パニック症]」、常に漠然とした不安が続き、仕事・家庭生活に支障の出る「全般性不安障害[全般性不安症]」などがあります。不安障害に対しては、投薬に加え、医師が必要と判断した場合は、心理師による認知行動療法も行います。
自分では合理的ではないと感じる考えが頭の中に現れ持続し、それを打ち消すために手洗いや確認行為を繰り返す「強迫性障害[強迫症]」に対しても、同様の治療を行います。
統合失調症
統合失調症は、聞こえるはずのない声が聞こえる、人の言うことが信じられない、見張られている、周りから意地悪をされるといった症状が目立つ病気です。これらの症状が投薬で落ち着いていても、注意力が落ちる、要領が悪くなる、記憶が悪くなるといった認知機能障害で苦しむ方も少なくありません。また意欲が減って、身の回りのケアが難しくなり、自宅に引きこもりがちとなるような場合は、就労や社会参加のためにリハビリが必要となります。リハビリのためのデイケアや就労継続支援事業所、就労移行支援施設、ハローワークなど社会資源の利用について、アドバイスをしたり、各機関との連携を行うことが可能です。
てんかん
てんかんは、全身のけいれん、意識を失う、体が勝手に動くなどの発作が脳の神経細胞の過剰な同期によって起こる病気です。当科では、てんかん専門医によるてんかんの診断・治療を行っています。対象年齢は、高校生相当年齢以上です。
病歴を詳しくうかがい、脳波検査や頭部画像によって状況を確認します。抗てんかん発作薬の薬剤調整や生活への助言を行うほか、精神症状が併存する場合、併せて治療を行うことも可能です。難治性てんかんや診断に苦慮する場合は、てんかんセンターへ紹介し、連携いたします。
認知症
認知症が疑われる場合、各種検査を行い認知症の診断を行います。ただし継続的な通院については、かかりつけの先生や近隣の診療所にお願いしております。
物忘れの程度を調べる心理検査(認知機能検査)や、脳の形態を調べるための頭部CT/MRI検査、認知機能低下を生じる認知症以外の疾患を除外するための血液検査を行います。必要に応じて脳血流SPECT(脳の血液の流れを調べる)、レビー小体型認知症を鑑別するためのMIBGシンチグラフィーやDaTスキャンなど画像検査を行います。
その他の精神疾患
周産期の精神不調、高次脳機能障害、身体疾患に基づく精神症状などにも対応は可能ですが、病床をもたない病院ですので、病状によっては対応しかねる場合もあります。まずはご相談ください。
入院中の患者さんへの対応
コンサルテーション・リエゾン診療
入院中に意識が曇り、状況把握が難しく、不安や混乱・不眠などが生じる「せん妄」や、病気による将来の不安や気分に落ち込みなどに対し、精神科医や心理師が病棟にうかがい、眠りや精神状態への診察を行う、コンサルテーション・リエゾン診療を行っております。入院生活を安心して送ることができるよう、専門家として助言を行うほか、睡眠薬の調整や、精神的に不安定な場合に精神安定剤を使用するなど、薬物療法を行います。心理師によるカウンセリングを行うこともあります。
緩和ケア
がんなどによる体の痛みや精神的なつらさを和らげるために、当院入院中にご希望のある方には、緩和ケアチームの一員として精神面への対応を行っております。
当院精神科でできないこと
- うつ病の治療法であるm-ECT(修正電気けいれん療法)、rTMS(反復経頭蓋刺激療法)はできません。
- ADHDの治療薬であるコンサータ、ビバンセ、ナルコレプシー治療薬のリタリン、モディオダールの処方はできません。
- アルコール依存症に使用する減酒薬であるセリンクロの処方はできません。
- 統合失調症の特効性注射剤である、リスパダールコンスタ、ゼプリオンの注射はできません。エビリファイLAI、ハロマンス、フルデカシンは使用実績があります。
- 幼少期~小中学校程度の年齢の方の診察・治療はできません。
- 精神科入院治療はできません。入院が必要な場合は他院(主には東大病院、帝京大学病院、吉祥寺病院、井之頭病院、慈雲堂病院、陽和病院、東京武蔵野病院など)にご紹介します。
- 夜間休日の緊急対応はできません。
- 睡眠時無呼吸症候群の一泊入院検査はできません。自宅でできる簡易検査までは行います。
- アルコール依存症や薬物依存症の方の治療プログラムはありません。必要に応じて近隣の専門施設(慈友クリニック、アパリクリニック、井之頭病院、東京アルコールセンターなど)にご紹介します。
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)に関する診断書の作成は行っておりません。
- 上記に限らず、患者さんの状態によってはあらかじめ他院受診をお勧めする場合もあります。ご了承ください。
